学問、芸術、スポーツなど多分野で文化交流がおこなわれていた地球人と金星人の関係は、ただ一点をのぞいてはきわめて良好であった。さっきまで笑っていた金星人を一変けげんな表情にさせる、両者間のあいだにそびえる高いかべ、日本の「なっとう」である。
もともと金星には発酵食品を食べる習慣がなく、独特のにおい、食感をもつ納豆は金星人に敵視されていた。2年前におこなわれた初の友好会議で、金星外交官に「地球人がこれを食べるかぎる、金星人と地球人のあいだに真の友情が生まれることはない」とまで言わしめた「納豆」に、このほど金星人がはじめて理解を示したのである。
衝撃の発言が飛び出す舞台となったのは、交換留学生のホームステイ先となっていた東京都豊島区の和田邸だ。

留学生の金星人に気を遣って自室でひとり朝食をとるようにしていた家の主人、和田権太(ごんた)さん(104)は、その日、いつものように「おかめ納豆」(タカノフーズ株式会社)を自室に持ち込もうとしたところを交換留学生に呼び止められた。留学生は、「毎朝おじいちゃんの部屋から聞こえてくる、ずるずる、という音が耳から離れない。ひとくち食べさせてもらえるまで、ぼくは眠れそうにない」と納豆に理解を示す発言をした。
世界を震撼させたこの発言に権太さんは、「はじめは、毎日ビニ本を買いに出かけるような年寄りを、ばかにしてからかっているだけかと思った。しかし、納豆をくれてやったお礼に『しっぽり世界の美女百選』をもらったとき、あの言葉は本心だったのだと実感した」と、金星人が示した理解に驚いた様子で心境を語った。
(記事の実配信日時: 2009-07-30 19:54:04)